(「英語対訳で学ぶ日本-歴史と文化の111項目」(育鵬社)の056「明治維新、成功の理由」The Reasons for the Meiji Restoration’s Successから)
【1】例文:Further, by the abolition of the domains and (by省略?) the establishment of prefectures, the old domain lords were completely cut out of government administration.(さらに、廃藩置県によって、旧藩主は行政から完全に切り離された。)
語彙: abolition of the domains 廃藩 establishment of prefectures置県 old domain lords旧藩主 cut out 切り離す government administration行政
【2】疑問:「by the abolition of the domains and the establishment of prefectures」のように、すなわち、「by A and B」において、Bの前で前置詞のbyは省略されているのか?
1.「by A and B」を「by A and by B」としても、文法的には誤りでないと思われる。
英文が「by A and by B」となっていれば、「廃藩によって、また置県によって」と理解でき、そのように日本語に訳すことが可能のように思われる。
例文は「by A and B」となっている。「廃藩(と)置県によって」の英訳としては「by A and B」の方がしっくり来ると思われる。
2.おそらく、省略できるものは省略するという英語(又は言語一般?)の習性によって、意味が通じる限りにおいて省略してもよいと考えれば、本例文の場合には、「by A and B」でよいと思われる。
特に、①AとBとが並列関係にあるか、あるいは②AとBとが合わさって1つの概念を構成する場合には、「by A and B」で十分であろう。
なお、ヘブライ語では、前置詞はどのような場合でも省略されないという規則があるようである。
3.一方、①AとBとが並列ではない場合、②「Aによって、またBによって」と敢えてAとBとを強調したい場合は、あるいは③AとBとの間に長い挿入句が介在すためbyとのかかり具合が不明になりそうな場合(例えば、「by "Haihan" meaning the abolition of the domains and by "Chiken" meaning the establishment of prefectures」のような場合)は、「by A and by B」とすることもあるのではないか?
4.残念ながら、今の私の知識では以上の1~3の解釈が正しいかどうかは不明である。また英語ネイティブがどのような差異を感じるのかは不明である。
なお、追って別の記事で検討する「in part to」が使用されている例文では、toが繰り返されている。https://www.komuko.info/post/%E3%80%8Cin-large-part-due-to-as-well-as-to-%E3%80%8D
5.この検討を通じて、ふと気付いたのだが、数学の因数分解的な見方もあるのではないかと。すなわち、「by A and by B」をbyでくくって「by (A and B)」とする見方である。
以上
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