(「英語対訳で学ぶ日本-歴史と文化の111項目」(育鵬社)の062「明治憲法-アジア初の本格的な近代憲法」The Meiji Constitution: The First Truly Modern Constitution in Asiaから)
【1】原文
Japan as the forerunner of such a state would then turn to compete with the West.
(日本はそのような国の先駆者として、それ以後、西洋と競争するようになった。)
語彙:forerunner先駆者 then過去のある時点からの展開を示して「それから」の意を表す。 turn to(変化して)~するようになる。 would 過去の「習慣…したものだった」「動作の反復よく…した」などについての回想を表わす
【2】疑問:wouldの有無により、意味はどう異なるか。
【3】検討
1.「would」は「will」の過去形であるが、「would」には種々の意味・用法がある。「would」の体系的なまとめは、別の機会に別稿で行う。
2.「would」の種々の意味・用法の1つに、いわゆる「過去の習慣」を表すとして説明されるwouldがある。上記の原文中の「would」は、「過去の習慣」で説明されるwouldであると思う。この用法のニュアンスは日本人に馴染みにくい面があり、訳し方も難しい。特に本文では「turn」という、これまた訳しにくい言葉と関係しているので、ますますもって訳しにくい。強いて訳せば(色分けすれば)、以下のような対応関係になるのではないか。
would then turn to compete with the West.
それ以後、西洋と繰り返しcompeteする方向に転換するようになった。
(原文において、なぜ単に「compete」とせずに、「turn to compete」としているか。明治憲法制定以前の日本は、西洋に従属的、隷属的態度であったのが、憲法制定を機に、西欧とcompeteする方向に舵を切った、転換(turn)したというニュアンスを出すためだと思われる。)
3.「would」の有無の差
(1)「would」無しの場合
then turned to compete with the West.
その時、西洋とcompeteする方向に転換した。
「turn」したことは事実だが、「turn」したのは1度だけだったのか、何度も「turn」したのかが分からない。
(2)「would」有りの場合
would then turn to compete with the West.
それ以後、西洋と繰り返しcompeteする方向に転換するようになった。
私の理解では、「would」があるとことにより、
「turn」したのが1度だけではなく、
・何か問題があるごとに「次々」と「何度」も「turn」した。
・種々の分野(産業掲載、軍事、文化)で「次々」と「何度」も「turn」した。
というニュアンスが生じているのではないかと推測する(この点は、英語ネイティブに聞いてみないと分からない。)
【4】「would」の有無の差が出る他の例
A単純過去 I played baseball when I was a kid.
B習慣「would」 I would play baseball when I was a kid.
差異:Aでは野球をやった頻度とか、思いが分からない。一方、Bでは「しばしばやった」という頻度と「野球をよくやったもんだ」という思い(懐かしい思いなど)が分かる。
以上
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